(概要)
 FORUMプレイスメイキング(連続座談会)の第1回として、「ストック活用時代のリノベーションまちづくり」が開催された。

 全国で展開されているリノベーションまちづくり、公共空間を含めた官民連携による自立型まちづくり、家守事業等、新しいエリアの付加価値を高め、自立的なまちづくり事業を展開する動きに係わる、専門家3名が集まり、それぞれの立場から現状認識と今後の可能性、戦略について議論が展開された。

 モデレーターの西村浩氏からは、大分、佐賀などにおけるまちなかの空間(公共、民間含む)活用の取り組みが紹介された。自らの実践を通じて、「たまねぎ作戦」によるターゲットを絞り込み、その核の部分から密度を高め、事業効果を増大させることにより、周辺への波及的な事業を展開する発想を提言された。人口減少社会において、戦略的なリノベーション、まちづくりの仕掛けとして重要な着眼、発想である。

 パネラーの清水義次氏からは、北九州リノベーションスクールをはじめ、3331Arts Chiyodaの事例など、小さな民間によるリノベーションまちづくりと、大きな公共施設等によるリノベーションまちづくりの両輪が必要であることが指摘された。中長期の都市政策、産業政策としての位置づけと、それに呼応した複線型の民間リノベーション事業を立て続けに展開していくことで、自立的な民間事業を成立させることができる点は、他の地域においてもすぐに実践すべきポイントである。

 最後に、松井直人氏からは、国土交通省における政策実務の経験に基づいて、現在は三菱地所(顧問)の立場から、人口減少時代のまちづくり、都市計画、コンパクトシティ等のあり方について、大局的な視座が示された。

 人口減少により必然的に減少する公共財源に依存したまちづくりの限界が想定される中で、公共・民間の垣根を超え、自立的な事業として稼ぐまちづくり事業の実現が必要不可欠となっている。本シンポジウムはそれを確信するに足る様々な視点が示され、充実した内容であった。

(以上)