(概要)
 岡山県の十五の自治体職員が集まり、一年間10回にわたる研究会活動を行い、単独自治体におけるファシリティマネジメントの取り組みの推進にとどまらず、横連携による効率的・効果的なFMを進めるための必要な知見を得る研究会。来年2月の成果発表会にむけて、それぞれの地域における公共施設の現状把握やファシリティマネジメントの手法、ノウハウ等を蓄積し、研究員ひとりひとりの白書づくりを目指す。

 総合アドバイザーに、関西学院大学の石原俊彦教授をお迎えし、自治体の規模、施設状況、立地条件、人口構成等もまったく異なる地域の職員が、ともに助け合い、コミュニケーションをとりながら、プロジェクト全体としてのファシリティマネジメントの研究・研修を進める。

 第2回の今回は、白書を使ったコミュニケーションの手法を、アイスブレイクのゲームから始まり、自分の物語を作りお話しする演習、全体での意見交換によるプロジェクトの全体目標づくりなどを実施した。また最後には、一般財団法人地域総合整備財団<ふるさと財団>が提供する「公共施設更新費用試算ソフト」の紹介が行われた。

 7月の第3回以降は、外部講師による講演と参加者同士のグループワークを通じたファシリティマネジメントの技術研修を推進する。

 研究会スタートにあたって、総合アドバイザーの石原教授から「ファシリティマネジメントの本当の課題」について、以下のようなメッセージをいただいた。

「地方自治体が直面する大きな行政課題は、ソフトサービスからハードサービスの時代へと変化しています。しかしそれは、福祉、教育、医療、介護といったソフトサービスの重要性が低下したのではなく、公の施設やインフラ資産の更新や大規模補修の問題が、こうしたソフトサービスと肩を並べるほどに重要になってきたというわけです。

 一方で、自治体を取り巻く財政環境は依然として厳しく、経済環境に改善の兆しが生じていますが、その持続可能性については、まだまだ慎重な見方が多いと言われています。国と地方の公的債務残高が1100兆円を超え、そのストック効果により、一瞬にして政府の財政が破たんしてしまうという主張もあります。

 こうした状況を正確に認識し、自治体関係者も賢明な意思決定を行っていく必要があります。公の施設の管理(マネジメント)に関して言えば、公共関与の必要性、代替性、使用頻度などを斟酌し、公の施設の重要性を評価するとともに、その現状を正しく住民に伝達して説明責任を果たしてゆかねばなりません。

 個々の施設を対象にする場合には、当然に帰結としてその存続を強調する声が大きくなります。これに適切に対処していくためには、行政が抱える施設全般の状況と自治体の財政状況を、住民に理解可能な形式で(たとえば、漫画による説明も考察に値します)わかり易く説明することが重要になります。

 ファシリティ・マネジメントの重要な課題は、時に行政職員や技術系コンサルタントの間だけで通用する専門的な知見に基づく考察を、住民レベルで議論可能なレベルに演繹し翻訳する作業であるということも忘れてはなりません。

 固定資産台帳を作っておしまい、あるいは、公の施設のあり方を方向付ける指針を作成しておしまいではなく、顧客でありパートナーである住民との合意形成を円滑に推し進めるフレームワークを構築できるかどうか。公の施設やファシリティ・マネジメントの本当の課題はここにあると考えることが重要ではないかと考えています。」

 ファシリティマネジメント、白書づくりを通じて、コミュニケーションをベースとしたまちづくり、ひとづくりにつながる取り組みとして、しっかりと根をはることが必要であることを再確認した。

                 (以  上)