◎6自治体に対し共同研究報告提出○
◎設立1年余で19自治体と協定○
◎法制度研究会が提言まとむ○
◎PPP専門の地方自治体公民連携研究会○

PPP(公民連携)専門の研究組織・地方自治体公民連携研究会(会長=塩川正十郎・東洋大学総長・元財務大臣※1)は5月30日、都内で23年度第1回目の本委員会を開催した。23年3月までに6自治体に対し共同研究報告書を提出、またPPP「法制度見直し」研究会(座長=根本祐二・東洋大学教授)が必要な改革に向けた提言をまとめ、この各内容を、それぞれ報告した。

研究会は、設立1年半で全国19自治体(※2)と共同研究の協定を結び、このうち23年度末までに6自治体に対し、共同研究報告書を提出した。6自治体との研究テーマは、埼玉県北本市が「道路維持管理」、滋賀県湖南市が「行財政改革」、静岡県伊豆市が「上下水道アウトソーシング」、北海道松前町が「地域公共交通」、京都府京丹後市が「地域総合サービス会社の在り方」、横浜市が「共創事業の評価」(※3)。
 「法制度見直し」研究会は、PPPを推進する上で必要な現行法制度見直しについて検討、その結果を報告書にまとめた。報告は、「包括民間委託の実現」のため自治法234条、「公物管理の民間開放」のため各種公物管理法、「公務員・民間の人事交流」のため地方公務員法35条、それぞれの見直しを挙げた。そのほかPPP実現に向けた個別課題として、「トラブル解決方法の事前契約」「コンセッション方式の導入(同方式は実現)」「規律ある資金調達手法の導入」「ICTを用いた遠隔医療の実現」「多様なPPP実現に向けた社会実験・財政支援」などの必要性も明示した(※4)。
 当日の本委員会では19自治体の首長も参加、「研究会が協定を結んでいる19自治体の課題は大きく『社会インフラ』と『行政サービス』に分類できるが、本来、両者はナショナルミニマム(国が保障するする最低限度の環境)。本来、自治体が(PPPなどにより改善を図り)競争を強いられるべきものなのか」と問題提起をする声が出た。
 本委員の1人・根本祐二氏(東洋大教授)は「PPPが次に行うべきテーマはバランスシート改革。国・地方が抱えるストック(資産)が更新時期を迎える。これに対し国・地方ともに今後50年間、更新予算が約3割足りない。これまでのキャッシュフロー改革だけでは、とても足りない。例えば今回の被災自治体である岩手県遠野市は、市役所が全壊してしまった。そこで中心市街地に空いていた商業施設にテナントとして入居した。スピーディーに新しい市役所ができた。市長室からはじまり市民課・財政課セクションまですべて。市民にとって非常に便利。商業施設はテナント料が入る。波及効果が高い。この体制を続けるかどうかは別として、この事例は自治体が資産を持ち続けなければならないという呪縛から解き放されたものと考えていい。人口が減少する社会の中でアセット(ストック)も減らさなければ、今後、算盤勘定が合わなくなる」と持説を述べ、今後のPPP課題だとした。

※ 1・(財)地方自治体公民連携研究財団の構成組織、平成21年9月設立
※ 2・19自治体=(別表参照)
※ 3・6自治体=(別資料参照)
※ 4・「法制度見直し」研究会=(別資料参照)