◎「生活習慣病」対策の健診は1.6ポイント増
◎「在院日数」は0.9日縮減
◎医療費適正化計画の中間評価
◎呉市レセプトデータ活用事例など

 厚生労働省は平成20年度から進める「全国医療費適正化計画」の中間評価を公表した。医療費増加(※1)の要因とする「生活習慣病」と「平均在院日数」への対策が進展している。特定健診実施率は20年度の38.9%が21年度40.5%に1.6ポイントアップ、在院日数は18年度の32.2日が20年度31.3日に0.9日縮減した。地域の取り組みでは、1人あたり老人医療費全国最低の長野県や、レセプト(診療報酬明細書)活用による生活習慣病予防を進める広島県呉市の事例を挙げる。

 20年度を初年度とする「全国医療費適正化計画」(~24年度までの5年間)は、医療費を押し上げている「生活習慣病」対策と、「平均在院日数」縮減を政策目標に掲げる。「生活習慣病」は、特定健診実施率70%、特定保健指導実施率45%、メタボ該当者・予備群を平成20年度から10%以上減少させる。「在院日数」は29.8日に縮減させる。
 これに対し中間評価(実績)は、特定健診実施率が40.5%(21年度)、特定保健指導実施率が13%(21年度)とする。平均在院日数は31.3日(20年度全国平均)。
 取り組み事例では、長野県の医療費マップ作成や、奈良県の運動習慣に関する数値目標設定、健康づくり対策に関するモデル事業・調査などを挙げる。また在院日数縮減に効果があるとされるクリティカルパスの事例も挙げる。患者の急性期、回復期、療養期、在宅医療期ごとの医療機関が連携をとることで効率化を図る。例えば北海道は運営協議会を設立(22年10月)、脳卒中から検討を始めている。

 厚労省は医療費増加の要因として、生活習慣病を中心とする高齢者による外来医療費増と、平均在院日数の長さ(病床数の多さ)による入院医療費増とする。これに対し国と都道府県が「全国医療費適正化計画」および「都道府県医療費適正化計画」を策定、対策を進める。外来医療費増に対しては生活習慣病対策(特定健診・特定保健指導)、入院医療費増に対しては平均在院日数の短縮(クリティカルパスなど効率的な医療の提供)。
 その他の取り組みでは①後発(ジェネリック)医薬品使用促進②診療報酬包括払い促進③レセプト電子化-などを進める。①は20年度から医師が「後発医薬品変更不可」と記載しない以上使用が認められている。②はDPC制度を推進している。診療報酬は出来高払いが基本であるのに対し、DPC対象病院は、病気類型医療費を包括的に決めておく。DPC病院は全国に1391病院あり、約46万床の病床数(22年度)。平成15年度からDPCに参加した各病院において、結果的に平均在院日数が減少傾向にある。③は電子化による効率化。保険者(※2)がレセプトデータを活用、医療費通知をすることなどで適正化を図れる。
 保険者の取り組み事例として広島県呉市が挙げられる。呉市は、後発医薬品使用促進、生活習慣病予防、重複受診・頻回受診対策、調剤点検などを行う。後発医薬品は、医療費負担軽減効果のある者に削減額を通知するサービスを実施、その結果、20年7月から22年3月までの対象者の6割以上が切り替えた。生活習慣病は、レセプトデータから対象者に受診勧奨などを実施。重複・頻回受診は、対象者を訪問指導、その結果、診療費が43万円余も削減できた。調剤点検は、薬剤重複服用などのチェック。
 厚労省担当は「例えば国民健康保険の保険者である市町村はレセプトデータがあるので、同データを活用しながら独自に展開できることが多いはず」と指摘する。

※1国民医療費=平成20年度は34兆8084億円、1人あたり27万2600円。国の見通しでは2010年(22年度)37.5兆円、2025年(37年度)52.3兆円にまで膨れ上がる。
※2保険者=1961年から国民皆保険の医療制度が導入され、現在の基本的な患者負担は30%、保険者は残り70%を負担する。ただし医療費構造は公費など複雑に絡み合い、平成20年度の国民医療費財源別負担割合をみると、患者(受益者)負担14.1%、保険料48.8%(事業主20.4%、被保険者28.3%)、公費37.1%(国庫25.1%、地方12%)。各医療保険財政の厳しさも目につく。国民健康保険は19年度で1290億円の赤字。協会けんぽも20年度2290億円の赤字。組合健保も20年度3189億円の赤字。