◎所有権は行政、民間に「運営権」を設定、「独立採算型」で事業○
◎抵当権設定で資金調達が円滑に!○
◎改正PFI法「コンセッション」○
◎被災者向け公的賃貸住宅などに生かせる!!○

 3.11東日本大震災が起きた当日の朝に閣議決定された改正PFI法。使いやすくすることを目的とした改正の1番のポイントは「コンセッション」という新方式の導入。奇しくも震災復興への活用に対する期待を集めつつある。被災者向け公的賃貸住宅建設などへの利用だ。改正PFI法とは、どんなものかスポットを当てる。

 改正されるPFI法の目玉は「コンセッション」。
これまで実施されたPFI事業では、利用料金収入などで事業費を回収する「独立採算型」や、行政から支払われるサービス購入料と合わせて回収する「混合型」が少なかった。課題を取り除き、推進することをテーマに導入した。
「コンセッション」とは、施設所有権を行政に置いたまま、民間に「運営権」を設定、「独立採算型」などで事業を進める。「運営権」には抵当権が設定できるため金融機関などからの資金調達も円滑になる。
メリットは、①行政は運営権の対価支払いで施設収入の早期回収を実現、②民間事業者は抵当権設定による円滑な資金調達、利用料金設定など自由度の高い事業運営、減価償却の導入、③金融機関などは抵当権設定による担保の安定化、④利用者は質の高い公共サービスの享受-を挙げる。
内閣府PFI推進室の宮沢正知参事官補佐は「従来のPFIで少なかった『独立採算型』『混合型』を増やすため、ネックとなっていた部分をクリアしようと考えた。ネックとは①不明確だった民間事業者による利用料金設定などの運営部分②金融機関などからの資金調達―の2点。『運営権』という考え方を取り入れることにより①民間事業者に利用料金設定権限を一定の範囲で認める②抵当権設定を可能とすることで資金調達を円滑化できる-ようになる」とコンセッションのポイントについて説明する。
さらに宮沢参事官補佐は運営権の対価支払いについて「行政の資金で建てた施設は、無料で運営権を民間へ与えると、当初の建設費用が返済できなくなる。バランスをとるため基本は対価支払いを求めることになるだろう。ただもともと行政運営で赤字施設だったものをPFI対象にしたところ、民間が手を挙げたような場合は、建設費用回収を行政が求めない場合もあるだろう。こうした場合など対価支払いは官民調整で決めたり、そもそも対価支払いを求めないなど、様々なケースがあるだろう」と解説する。
宮沢参事官補佐は減価償却について「減価償却制度により初年度の運営権取得にかかる費用を事業期間を通して損金算入できるので、法人税の軽減となる」と指摘する。
「コンセッション」は、どんな事業に活用するのか。
国が今、想定しているものは関西空港。今回の大震災復興にも生かしていくことを考えている。
震災復興などに対し宮沢参事官補佐は「今は応急復旧段階のため国費を投入、どんどん仮設住宅などをつくっている。復興段階になると例えば被災者向け公的賃貸住宅を建設しなければならなくなる。阪神大震災では3万戸を供給した。この整備に新たなPFIを使うことがある。例えば建設は従来のPFIで整備(BT方式)、その後、コンセッションを導入する、といったことなどが考えられる」と主張する。

改正PFI法は「コンセッション」のほかに①対象施設の拡大②民間提案制度の導入③民間事業者への公務員派遣④民間資金等活用事業推進会議の創設-を新たに加える。
① は、賃貸住宅、船舶、航空機、人工衛星などを追加。賃貸住宅は従来から公営住宅(低所得者向け)が対象だったが、高齢者向けなど、さまざまな公的賃貸住宅も対象とする。また民間が製造して、運営する自治体防災ヘリ(航空機)や人工衛星なども想定する。
② は従来から制度にあったが、民間が提案するインセンティブがなかった。今回、提案を受けた行政は検討、結果を民間へ通知しなければならないという規定を加えた。
③ は行政ノウハウを民間へ誘導するためPFI事業者への公務員の派遣などを配慮規定として設けた。国には「官民交流法」があるため、同法に基づき行う。法律のない自治体は地方公務員法に基づき、条例対応などで行うことを想定している。
④ は内閣府に現在あるPFI推進委員会と別に、関係省庁間の調整など政府一丸となり行う会議を創設する。推進委は第3者(学識経験者、実務者など)で構成する審議会。別に総理を会長とする推進組織を設ける。
 4月20日参議院を通過。今後、衆議院での審議後、成立、公布し、順次施行予定。法律の中の「コンセッション」「提案制度」「公務員派遣」などの運用についてはガイドラインなどをまとめる方針。
 なお23年度予算(内閣府PFI推進室関連)では3件のモデルプロジェクト調査やPFI専門家派遣制度(仮称)で4300万円を計上している。