廃校の体育館を市庁舎に、大空間に機能集約

廃校となった県立高校の体育館2棟と校舎の一部を改修した富山県氷見市の新市庁舎で、5月7日から業務が始まった。広い空間を生かし、市民がよく使う窓口を集めてワンストップで手続きできるサービスを実現した。

 2棟の体育館はそれぞれ2階建て。旧第2体育館の1階、面積約1450m2のワンフロアには、市民の利用頻度が高い福祉介護、子育て支援、税務、市民の4課を配置した。旧庁舎ではこれらの課が分散していたので、再編・集約して利便性を高めた。1階にはほかに地域協働スペースとなる多目的会議室や、福祉・介護の相談を受ける相談室など、市民が利用する機能を集めた。2階は第2体育館側に市長室や総合政策課などの機能を、第1体育館側には議会機能を集約した。

 体育館ならではの大空間の課題は、設計上の工夫で解決を図った。設計・監理を担当したのは、山下設計と氷見市内の浅地建築設計事務所の設計共同企業体。2012年の公募型プロポーザルで、天井高が9mを超す旧第2体育館の2階に船底状の曲面天井を設け、自然光を採り入れながら空調の負荷を抑える計画を提案した。市はこのアイデアを高く評価し、設計者に選定した。

整備費用を半減

 旧庁舎は本館が1968年、別館が59年に完成した建物だ。老朽化が進んだことや、耐震性能を表すIs値が最小0.23で耐震基準を満たしていなかったこと、さらに津波浸水想定区域内に位置するため防災拠点としての役割が担えないことなどから、移転整備に至った。

 市が移転先の候補地として挙げたうちの1つが、2012年3月に閉校した富山県立有磯高等学校だった。整備費用の試算では旧庁舎を建て替える場合に比べて半減でき、さらに国の緊急防災・減災事業積の適用で実質負担を抑えることも見込めたため活用を決めた。プラン上は校舎部分を利用する案と体育館を利用する案を並行して検討。校舎は回廊型で配置計画の自由度が少ないうえ、改修しても耐用年数が短かかった。一方、体育館は築年が浅く1カ所に庁舎の機能を集約できる点で有利だった。

 体育館は2棟とも鉄骨鉄筋コンクリート造の2階建てで、1991年と96年に完成。校舎棟は鉄筋コンクリート造の3階建てで、66年に建設された。校舎棟は一部を残して解体して、駐車場を確保している。

氷見市庁舎移転整備工事
所在地:富山県氷見市鞍川1056
既存建築物の名称:富山県立有磯高等学校
既存建築物の竣工年:1996年(第1体育館)、91年(第2体育館)、70年(記念館)、71年(格技場)、66年(校舎棟)
工事前の主用途:校舎
工事後の主用途:庁舎
地域・地区:準住居地域
建蔽率:21.08%(許容60%)
容積率:37.18%(許容200%)
前面道路:北東14.0m、南東4.0m、西5.2m、北20.0m
駐車台数:339台
敷地面積:2万746.91m2
建築面積:4374.37m2
延べ面積:7890.31m2(うち増築部分493.26m2)
構造:鉄骨造(エントランス棟、新設)、鉄骨鉄筋コンクリート造(旧第1・第2体育館)、鉄筋コンクリート造(旧校舎棟、旧記念館)、鉄骨造一部鉄筋コンクリート造(旧格技場)
階数:地上3階
基礎:べた基礎
高さ:最高高さ17.235m、主な階高5.000m、3.800m
主なスパン:4.250m、4.650m
発注者:氷見市
設計・監理者:山下設計・浅地建築設計事務所JV
設計協力者:稲菱テクニカ(サイン計画)
デザインアドバイザー:島津環境グラフィックス
施工者:名工建設、氷見土建(外構)
設計期間:2012年12月~13年9月
施工期間:13年10月~14年4月
建設事業費(税込み):19億3876万3000円(予算ベース、用地取得費約3億円を含む)

(ケンプラッツ 2014年05月15日より)