求ム消防団員

首都直下…警戒強まるも不足
大学連携や割引特典 自治体が知恵

 首都直下地震や南海トラフ巨大地震など大規模災害への警戒感が高まる一方で、地域防災の重要な担い手となる消防団員が不足している。団員の高齢化も進むなか、自治体などは地元の大学と連携したり「特典」などを設けたりして、若い団員の確保に知恵を絞る。関係者は「女性にも積極的に声をかけ、1人でも多くの人に参加してほしい」と呼び掛けている。

 「皆さんは地域防災の中核です」。4月下旬、横浜市西区の西消防署で、地元の消防団に入団した20代から60代の新人9人に署員が語りかけた。

 新人の中には、7カ月の乳児を連れた「ママさん団員」の三浦美樹さん(36)の姿も。訓練中はベテランの女性団員が乳児をあやすなどしてサポートした。三浦さんは「東日本大震災のような大災害が発生した場合、どうやって家族や地域を守ればいいのかを詳しく知りたかった」と入団の動機を語った。

 同消防団(定員230人)は、署員や団員らが地元企業や自治会に出向いて団員の確保に動いた結果、過去数年間、定員充足率100%を維持している。

 しかし、こうしたケースは珍しく、全国的には消防団員の減少傾向が続く。消防団員数は1952年の約200万人をピークに減り、なり手不足と高齢化を背景に昨年4月時点で87万人弱まで落ち込んだ。

 減少理由について、東京消防庁は「活動の重要性への理解不足が一因では」とみている。都内の消防団に所属する男性は「地元の付き合いから入団しただけで、活動そのものに魅力を感じていない人も多い」と話す。夜間訓練の最中に地元住民から「うるさい」と苦情を言われたこともあったという。

 昨年12月には、消防団員の加入促進などを自治体の責務とした「消防団法」が成立。地域の防災力のカギを握る消防団員の確保は各自治体にとっても大きな課題だ。

 千葉県は今年度から県内の3大学と連携し、学生らに消防団への入団を促す啓発イベントを企画。このうち、淑徳大(千葉市)は既に全国で初めて学内消防団を結成している。淑徳大地域支援室の担当者は「学内だけでなく、地域の災害時の高齢者支援などにも貢献したい」と話す。

 静岡県では、県内のレジャー施設などを運営する7社・団体が「ふじのくに消防団応援連盟」を設立。4月から消防団員とその家族には入場料の半額サービスを始めた。

 栃木県では日光市、鹿沼市に続き、小山市でも6月から飲食店や理髪店など市内約140の店舗・施設で消防団員が様々な割引サービスを受けられるようにした。同市の担当者は「20~30代の若者の入団につながれば」と期待する。

 大規模災害に備えて消防団員の100万人台への回復を目指す総務省消防庁は「自分たちの地域は自分たちで守るという意識で消防団に参加してほしい」(地域防災室)としている。

(日本経済新聞 2014年05月14日より)