道路網生かし活力維持 首都圏白書、人口減見据え提言

都市機能を強化、東京周辺へ誘客

 

国土交通省は13日、2016年版の「首都圏白書」を発表した。人口減少時代を見据え、整備が進みつつある高速道路網を物流の効率化や観光客の誘致に活用することが、地域の競争力向上に重要と指摘。一方、老朽化が進む橋やトンネルなどの維持・更新や、今後予測される首都直下地震に対する備えの必要性も強調した。

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 白書が指す首都圏は関東1都6県と山梨県。白書は人口減少の時代にも活力を保つためのキーワードとして、ヒト・モノ・情報が地域を越えて盛んに行き来する「対流」を挙げた。首都圏に対流を促す基盤として、交通インフラの重要性に着目している。

 現在、中央環状線と東京外かく環状道路(外環道)、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の「首都圏3環状道路」の整備率は74%(昨年10月末時点)に達する。こうした交通インフラをうまく活用すれば、都市機能や産業競争力を強化できると分析した。

 実例として、群馬県に工場を持つ大手自動車メーカーが北関東自動車道や茨城港を使うことで、従来の京浜港を利用するルートと比べ輸送時間が短縮したケースを紹介している。

 訪日外国人(インバウンド)の誘客も、交通インフラがカギとなる。15年の訪日外国人1974万人のうち、4割が首都圏を訪れたが、東京に集中して周辺地域の恩恵は少ない。白書は交通インフラが整ってきたのを好機と捉え、他の地域にも誘客する努力が必要と指摘した。

 首都圏で再生エネルギーの導入が進んでいる状況にも注目。白書によると、首都圏では太陽光や風力など再生エネの導入量が、15年4月までの1年間で2倍以上に伸びた。設置が決まった水素ステーションも37カ所(昨年6月時点)と、全国の半数近くを占めている。こうした再生エネ施設を活用し、環境にやさしい都市圏づくりが重要だとしている。

 一方、課題として高度経済成長期以降に集中的に整備した橋やトンネルの老朽化を挙げた。首都圏と長野県の1都8県で建設から50年以上たった道路橋の割合は13年度に21%だったが、20年後は62%に増える見込み。今後膨らむとみられる補修や維持・更新コスト圧縮の必要性を説いた。

 熊本地震の影響が続く中、自然災害への備えにも触れた。予測される首都直下地震が起きた場合、建物の全壊・焼失は最大61万棟に上ると想定。ハード・ソフト両面の防災・減災対策が必要だと強調した。

(日本経済新聞 2016年05月14日)