広島県、働く女性の「一歩」後押し 再就職や育児両立で

 広島県が働く女性の支援を強化している。結婚や出産を機に退職した女性の再就職を後押ししたり、働くことに対する女性の意識改革を促したりする取り組みを始めた。事業所内保育など企業の体制整備も促し、県を挙げて女性の働きやすい環境づくりを進める。

 再就職に悩む女性の一歩を後押しするため、県は年明けから「女性の働く一歩応援キャンペーン」を開始。今月4日には女性向けの性格・適職診断サイトをスタートさせた。スマートフォンやパソコンで20問の質問に答えると、性格分析や適職などを提示する。8日にはイオンモール広島祇園(広島市)で診断サイトを紹介するイベントも開く。

 キャンペーンのサポーターには昨年結婚したお笑いタレントの椿鬼奴(つばきおにやっこ)さんを起用、県内でテレビCMも流れる。湯崎英彦知事は「情報発信を強化し、県が働きたい女性を積極的に支援しているということをもっと知ってもらいたい」と話す。

 県が再就職支援に動くのは再び職を持つことを考える女性の切実な事情があるためだ。今月、広島市にある女性の再就職支援窓口「わーくわくママサポートコーナーひろしま」を市内に住む40代女性が訪ねた。家庭に入って10年以上になり、子育てが一段落したため再就職を考えたが「家の外に出ることへの不安もあり、どうしても行動に移せなかった」。悩んでいた時、サポートコーナーの存在を知った。

 女性相談員と1対1で話し合い、面接対策や化粧の仕方など様々なアドバイスを受け、働くことへの不安も和らいだという。今月、サポートコーナーが提案する県内企業での職場体験プログラムにも参加する。「出産前は事務職だったが、今は介護業界に興味がある。人の役に立つ仕事に携われたら」と話す。

 県がサポートコーナーを訪ねた女性に意識調査を実施したところ、全体の約6割が「パートタイム就業でなければ仕事と家庭の両立が困難」と回答した。働きたくても勤務時間を考えたり自由に仕事が選べないとの固定観念を持ったりして就職活動への一歩を踏み出せない女性が多いという。

 女性の働きやすい環境づくりのため企業とも手を組む。1日、県と広島銀行の共同事業所内保育施設「イクちゃんち」を県庁内に開設した。県庁や広島銀の職員、地域住民の乳幼児(0~2歳まで)を受け入れる。県が企業と共同で事業所内保育施設を設けるのは全国的にも珍しい。

 女性の従業員が少ない中小企業など、複数の企業が共同で運営する事業所内保育施設のモデル事業として紹介し、県内企業への普及を促す方針。15年度は認可型の事業所内保育施設の奨励金制度を設け、県内で新たに15カ所開設される見込み。「将来的にオフィスビルや工業団地内に共同の保育施設ができれば、女性の働きやすさはもっと高まるはず」(県働く女性応援課)という。

 広島県は25~44歳の女性の就業率を、2020年度に73%(10年度は68%)に高める目標を掲げている。家庭と仕事の両立への不安がなくなり、一人ひとりが個性を生かした仕事を選択できる環境が整えば、女性の活躍できるフィールドは今後さらに広がりそうだ。(広島支局 佐藤亜美)

(日本経済新聞 2016年03月05日)