地元での就職応援 首都圏の大学と地方の自治体がタッグ

 首都圏の大学が相次いで地方の自治体と就職支援協定を結んでいる。地方での知名度を上げて入学志願者数の増加と卒業生の就職率アップに結びつけたい大学側と、地元から首都圏の大学に入学した学生のUターン就職を増やしたい自治体側の狙いが一致した。少子化に伴う人口減少は大学と自治体に共通する課題だけに、同様の取り組みはさらに増えそうだ。

 中央大学は3月、秋田県と就職支援の協定を結ぶ。秋田県がこうした協定を結ぶのは中大が初めてという。中大は入試会場を設けている全国17都市を優先して協定を広げていく戦略で、2015年12月には新潟県、香川県と結んでいる。

 県の出身者が参加するセミナーやイベントを通じて学生に地元での就職に目を向けてもらう。「地方の自治体や企業との結びつきを深めて地方でのブランド力を高め、優秀な学生の確保につなげたい」(キャリア支援課)。各地の保護者や大学OBの経営者から問い合わせも多いという。

 神奈川大学は8日、福島県と学生の就職活動を支援する就職促進協定を結んだ。今後、学内で福島県内企業の説明会を開いたり、インターンシップ(就業体験)の受け入れを支援したりする方針だ。在学生約1万8千人のうち、1都3県以外の出身者は約4割を占める。協定が学生獲得へのPR材料になっている側面もある。

 神奈川大は12年以降、福島県を合わせ7県と同様の協定を結んでおり、29日には熊本県とも協定を結ぶ見込みだ。神奈川大の担当者は「地方との連携に力を入れることで地域の産業活性化に寄与でき『学生を首都圏に取られる』といった思いも払拭できる」と話す。

 一方、約5600人の学生の8割超を首都圏出身者が占める千葉商科大学は「連携協定を機に地方企業に積極的にアピールしてもらい、学生のUターン、Iターン就職を促す」(就職課)狙い。

 千葉商大が就職支援に関する連携協定を自治体と結び始めたのは15年2月から。協定を結ぶ先は、出身学生の数が1学年あたり20人以上の自治体を基準に探しているという。既に長野県や福島県など6県と結んでおり、16年度は静岡県との締結を検討している。

 日本工業大学もUターン就職の支援に力を注ぐ。栃木、茨城、群馬、長野、新潟の5県と就職協定を締結済みで、各県の担当者に地元企業を紹介してもらうといった学生向けイベントを開いている。日本工業大には北関東出身者が多く在学するが、東京の企業に就職する例も多い。「地方でも良い企業があることを紹介して、就職先の選択肢に入れてもらう」(同大)効果を期待する。

(日本経済新聞 2016年02月26日)