小山薫堂氏に聞く 老舗活性化、1号案件は九州が理想

地方の老舗ブランドや古民家を継承し活性化を目指す新会社「ウィズオレンジ」が18日に立ち上がった。会長に著名な放送作家でオレンジ・アンド・パートナーズ(東京・港)社長の小山薫堂氏、社長には九州で地域特化型ファンドを運営するドーガン(福岡市)社長の森大介氏が就き、両社が折半出資した。小山会長に狙いを聞いた。

 ――熊本県出身の2人が全国を舞台にタッグを組みます。構想はいつできたのですか。

 「誰かに喜んでもらうことが喜びで、これまでも色々と手掛けてきた。地方を金融で盛り上げている森社長と出会い、2009年頃、天草でオーベルジュ(宿泊施設を備えたレストラン)をやろうと盛り上がった」

 「天草に限らず、地方を盛り上げるには、平均的に全部盛り上げようとしても、メディアの話題にはなりにくい。みんなが注目する施設や仕組み、サービスなど、何か一つ特化した物があればそこにメディアが来て、取材してもらう中で発信できる。そこを見習って地域が努力し始めると好循環が生まれてくる」

 ――新会社の特長は。

 「老舗はさぼっているわけではなく、やり方がわからないだけの人が多い。その地で名門になったからにはそれなりの理由があり、ファンもいたはずで、消えかけている魂に対して『ふいご』のような役割ができたらいい。京都の下鴨茶寮を承継して、リスクを取って地元にある良いものを磨き、さらに発展させることの可能性を感じた」

 「私は頼まれないのに勝手にテコ入れしたくなるのが性分。ただ、自分の会社ではない場合、『ここの部分に思い切ってお金を張ればいいのに』と思ってもできないもどかしさがある。新会社は口で言うだけではなくて資金も出せる。私は理想論を語り、実務のシビアなところは森さんに現実的な目線を教えてもらう」

 ――地方の資源の再生で話題の星野リゾートとの違いは何ですか。

 「我々は何かに投資したとしてもそこの名前を変えない。ウィズオレンジを全国に広げるわけではなく、その地のものを一緒になって磨いていく。下鴨茶寮を経営して感じたが、そこで結婚式をするなどして思い出がある人がいる。ウィズオレンジの案件だとわからない形で陰に隠れても良いと思っている。ただ、表に出たほうがいい場合は出ることも考える」

 ――案件のメドは。

 「第1号は九州が良いかなと思うが、こればっかりは縁だ。九州に限らず全国で展開していくが、数値目標みたいなものを先に決めることはしない。対象事業の大きさも特に決めていない。普通は目標を立てるかもしれないが、数ばかりがノルマになって増やしていくのが良いとは思わない。対象は旅館や料亭が多いとは思うが、お菓子屋さんもあるし、酒蔵なんかもやってみたい。まったく制限はない」

 ――地方創生への期待も高い。

 「民間が頑張っていると行政が足を引っ張り、行政が強いと民間が付いて来ないなど良いバランスがなかなかない。行政を味方に巻き込みながら、民間と行政をつないで進めていきたい」(聞き手は平本信敬)

(日本経済新聞 2016年2月19日)