人材確保 魅力環境 能力開発/生きいき職場実現/厚労省

 【第9次建設雇用改善計画案】
 厚生労働省は10日、2016年度から20年度までを計画期間とする第9次建設雇用改善計画案をまとめた。施策の最重点事項として、(1)若年者などの建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成(2)魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備(3)職業能力開発の促進、技能継承--の3項目を掲げた。「若者や女性が将来にわたり生きいきと働ける職場を、いまこそつくりあげるべきとの指針」(厚労省)に位置付けて、労働時間や賃金、休日などの面で、他産業と比べそん色のない就労環境の実現に向け、施策を強力に推進する姿勢を打ち出した。
 計画案は、同日に開いた労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の建設労働専門委員会に示した。専門委は、委員の意見を踏まえて一部修正することを条件に、計画案を了承した。
 厚労省は、建設労働対策の新たな指針となる第9次計画を、3月上旬に開く予定の労政審の職業安定分科会雇用対策基本問題部会に報告する。同下旬に第9次計画を決定し大臣告示する。
 計画案では、他産業に比べ新卒者の入職が少なく、離職率が高い状況が深刻化しているとし、「このまま若者などの入職が進まなければ、将来的に技能労働者が不足する懸念がある」と指摘。若者など担い手の確保・育成と技能継承が極めて重要な課題だと訴えた。その上で、建設業で働く若者がライフステージに応じた生活設計ができるよう、企業などの建設事業主に就労環境の確保を求めた。また、建設産業の活性化には、労働の質を高め、国際競争力を強化する視点も重要になると強調している。
 建設労働者の雇用改善に向けて展開する施策は、3つの最重点事項に、雇用改善推進体制の整備、円滑な労働需給調整などによる雇用の安定、外国人労働者への対応を加えた6つを施策の基本的事項に据えた。
 特に若年の入職・定着に向けては、体系的な処遇改善に加え、技能労働者のキャリア形成に役立つ適切な資格の取得、取得に向けた教育訓練と取得した技能に見合った処遇を関連付けた「望ましいキャリアパスを検討し、建設業を目指す若者などに提示する」ことを求めた。
 長時間労働の改善に向けては、 労使が具体的な目標を設定して自主的に取り組む内容とし、行政が重点的に指導するとした。 休暇制度については、完全週休2日制の普及が遅れていることを強調するとともに、その実施を確保する手段として、 「土日連続全休制による現場閉所に向けた労使の取り組み」、段階的な方法としての「4週8休制導入への労使の取り組み」を進める方針を打ち出している。
 公共工事の発注者に対しては、工期の平準化や労働者への適正な賃金の支払い、労働時間短縮など労働条件改善に役立つ公共工事の発注を推進する方策などに取り組むことを求めた。
 生産性向上の一方策として、一人の技能労働者が受け持つ仕事を増やす多能工化を挙げ、多能工化に役立つ職業訓練を進めるなどとした。

■第9次建設雇用改善計画の案
雇用改善に向けた施策の基本的事項

1 若年者等の建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成
 ▽若年労働者の確保・育成
 ▽女性労働者の活躍の促進
 ▽高年齢労働者の活躍の促進
2 魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備
 ▽建設雇用改善の基礎的事項の達成
 ▽労働災害防止対策の推進
3 職業能力開発の促進・技能継承
 ▽事業主等の行う職業能力開発の促進
 ▽労働者の自発的な職業能力開発の促進
 ▽熟練技能の維持・継承および活用
4 雇用改善推進体制の整備
 ▽建設事業主における雇用管理体制等の整備
 ▽事業主団体等における効果的な雇用改善の推進
 ▽地域の実情を踏まえたきめ細かな雇用改善の推進
 ▽建設労働者確保育成助成金制度の活用
 ▽関係行政機関相互の連携の確保等
 ▽雇用改善を図るための諸条件の整備
5 円滑な労働力需給の調整等による建設労働者の雇用の安定等
  建設業務有料職業紹介事業と建設業務労働者就業機会確保事業の適正な運営の確保
6 外国人労働者への対応

(建設通信新聞 2016年02月12日)